気候変動覚え書き

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zoom RSS 気候変動で日本のGDPは35%減、ロシアは419%増

<<   作成日時 : 2016/12/30 01:05  

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丸一年間あけてしまいました。
2016年の全球平均気温は過去最高を更新する、と1年前に聞いた時にはホントかよと思いましたが、更新するようですね。2014年に初めて疑問の余地なく1998年の記録を抜いてから3年連続での大幅な記録更新です。おかげでhiatusは「我々は何かを間違えていたのか」から「我々の細部の理解はまだまだだ、hiatusを通じて切り込むぞ」とすっかり前向きに変わりました。前向きなのは結構なのですが、2014-16は1997-98年同様、大エルニーニョによる強烈な追い風参考記録です、2016年の記録をいつまでも抜けないぞ、またもやhiatusだぁぁ、とならなければ良いと素人は老婆心で思います。
そうかと思えば「北極点は熱波到来中、クリスマスイブは平年に比べ最大で20℃高くなる見込み」とBBCは報じソリをサーフボードに持ち替えたサンタの写真が出回っています。それやら何やらを受けて海氷の体積面積はこの時期の衛星観測史上最低記録を更新し続けています。着実に温暖化してますね。パリ協定をトランプ次期大統領は破棄するかも、などと聞くともう笑うしかありません。
そんな折、MIT Technology Review日本語版に「気候変動で日本のGDPは35%減少、ロシアは419%増加」という記事が載りました。以下はその基となっているNature論文、Science論文、そしてMIT Technology Review英語版を基に書いています。Nature論文は2015年であり結構古い情報なのですが、私が知ったのはつい最近という事でお許しを。日本語版は省略され過ぎていて情報が乏しいです。


気温が経済活動に与える影響を過去データから帰納的に導いた。
ミクロでは穀物生産や労働生産性に対する気温の影響は先進国でも途上国でも明瞭で、高い非線形性を持つ。その一方、マクロで見ると先進国は気温上昇しても生産性は落ちない、途上国では線形に低下すると報告されており、不整合となっていた。そこで1960-2010年における166カ国の統計を解析し、気温と降雨量が経済に及ぼす影響を他から分離し、ミクロとマクロのデータが整合するモデルを導いた。それによれば、全ての国で平均気温13℃が経済の生産性のピークとなり、それを超えると急激に低下することが分かった。これは包括的な結果で、1960年以降の時間軸では常に、農業部門でも非農業部門でも、途上国でも先進国でも一貫した影響があった。
これをIPCC RCP8.5シナリオの結果と突き合わせ、2010年を起点として2100年の経済規模を気候変動が起きた場合、起きなかった場合で比較した。起きた場合の世界の2100年のGDPは23%減となる。損失は気温に対してほぼ線形で、従来見積もりよりはるかに大きい。各国ごとに影響は大きく異なり、結果として経済格差は拡大する。
各国ごとのGDPの変化を拾うと下記となる。
  • 熱帯・亜熱帯の国々
     一般に80-90%減となる。
     インド:-92%, タイ: -90%, インドネシア: -85%,フィリピン: -84%
     サウジ: -96%, カタール-92%, リビア-84%
     ブラジル: -83%, ベネズエラ: -91%, コロンビア: -77%
     アフリカは最良の南アフリカで-66%。中央アフリカはほぼ全て-90%前後
  • 比較的温暖な温帯の国々
     日本: -35%, 中国: -42%, 米国: -36%, オーストラリア: -53%。
     日米中は共に現在がほぼ最適点。ここから暑くなっても寒くなっても生産性は落ちる
  • ヨーロッパ
     南北で明暗を分けるが、プラスが多い。
     イタリア: -26%, スペイン: -46%
     フランス: +10%, ドイツ: +63%, UK: +42%
     スウェーデン: +210%, フィンランド: +516%
  • 寒帯の国々
     カナダ: +247%, ロシア: +419%, モンゴル: +1413%
    こうした変化の大半は21世紀の後半に発生する。例えば下記である。
    インド: 2030年: -11%, 2050年: -37%, 2099年: -92%
    日本: 2030年: -1%. 2050年: -6%, 2099年: -35%
    ドイツ: 2030年: +4%. 2050年: +14%, 2099年: +63%
    カナダ: 2030年: +9%, 2050年: +35%, 2099年: +247%
    ロシア: 2030年: +11%, 2050年: +47%, 2099年: +419%

  • モンゴルの首都ウランバートルは、世界で最も平均気温の低い首都です。温暖化の恩恵もその分大きいのでしょう。
    GDP増減の数字は、MIT Technology Review英語版に載っている図から拾いました。この他Science論文には、気温との関係が解析されている過去のデータとしてイタリアとインドの死亡率、暴動、数学の成績、ブラジルの食糧生産、ほか様々なデータが載っており興味深いです。また文中、2100年と2099年が混じっていますが異なるソースのデータを書き写した結果です。こうした計算は2099年の年末 or 2100年元旦まで行うのが一般的です、原論文を精査していませんが実質的には恐らくおなじです。
    13℃が経済的な生産性 (economic productivity) では最適、日米中はほぼ最適点、は少々意外です。思わず気象庁のデータを眺めてしまいました。日本の平均気温はもう少し高い気がするし、私個人の生産性も、もう少し暖かい方が良い気がしますが、Nature論文のabstractにはそう書いてあります。

    ううむ、これ、本当なんでしょうか。著者のHsiang氏は「自分は強迫観念に捕らわれている」と自認しているようですが。
    上記の数字を年率に換算すると、カナダは1.39%, ロシアは1.85%, モンゴルは3.06%のGDP成長率の上積みがあることになります。私がプーチンなら、陰に日向に気候変動対策の国際合意を妨害しますね。だからロシアは原油輸出に励む?! PETMの時は北極海周辺でワニが泳いでいたと言います。ワニまで行かなくても日本の北海道レベルまで温暖化すれば、下手に永久凍土が溶けると酷いことになるにしても、人間活動の幅は大きく広がりそうです。もちろん、その効果の大半は今世紀後半に集中します。カナダの場合、2010-30年は年率0.43%, 30-50年は1.51%, 50-99年は2.52%の上積み。ロシアは各々0.52%, 1.94%, 3.35%。
    カナダ。移住したくなってきた。私は2回しか行ったことがありませんが、どこか落ち着きがあってよい雰囲気の国です。温暖化が進むと米国はカナダを侵略する、なんて物騒な予想もありますが。
    ヨーロッパの没落も歯止めがかかったりするのでしょうか。それとも、移民流入で酷いことになるのでしょうか。軍事アナリストグウィン・ダイヤーは「暗い色眼鏡をとおしてこの世界を眺め」たと断った上で架空の未来として「2036年、EU(欧州連合)は最終的解体へといたった。南の加盟国から、北の加盟国を目指した大量移住者の圧力に、ついに抗しきれなくなったのだ」と書きます。本記事が本当なら、2036年ではなく2050年以降でしょう、、、いやいやあのEUの状況を見るに?
    街ですれ違う子供たちの幾分かは確実に、2100年を見るのですよね。

    Journal reference:
    Marshall Burke, Solomon M. Hsiang & Edward Miguel, 'Global non-linear effect of temperature on economic production,' Nature 527, 235?239 (12 November 2015) doi:10.1038/nature15725
    Tamma A. Carleton and Solomon M. Hsiang, 'Social and economic impacts of climate,' Science, VOL 353, ISSUE 6304, 9 SEPTEMBER 2016. DOI: 10.1126/science.aad9837
    David Rotman, 'Hotter Days Will Drive Global Inequality,' MIT Technology Review, December 20, 2016.
    available from https://www.technologyreview.com/s/603158/hotter-days-will-drive-global-inequality/
    David Rotman, 気候変動で日本のGDPは35%減少、ロシアは419%増加, MIT Technology Review(日本語版), 2016.12.21.
    Available from https://www.technologyreview.jp/s/18819/hotter-days-will-drive-global-inequality/

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