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zoom RSS 氷山が割れる時はとてもウルサい

<<   作成日時 : 2013/07/18 06:24   >>

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2005年にLasen B氷棚から分離し2008年まで生き延びた超巨大氷山A53 (の子氷山A53a) を巡る測定の一つ、割れた時の音、についてのOceanography掲載論文。

氷山A53aが引き起こした様々な音、海底と接触して起こすハーモニック微動(harmonic tremor, 以後HT)や氷が溶けて割れることで起きる「氷震 (icequakes)」等々をScotia海とBransfield海峡に設置した水中マイクの格子で観測した。
2007年4〜6月、A53a (〜55km*25km)はBransfield海峡を通ってWeddell海から流れ出した。水中マイクはA53aが水深124mの浅堆にぶつかり192度回転した時の6日間にわたる断続的なHTを捉えた。Bransfield海峡では水深265mの浅堆にぶつかり、くるくる回転した。この時のHTは40-60秒程度の短いものであった。HTの基本周波数、overtone spacing (って何?), シグナルの長さは氷山の底が浅堆とこすれた面積、継続時間、氷山の速度の関数であった。
A53aはその後温かい海域に入り、2008年1月には表面に湖が現れ、2ヶ月後には割れて人工衛星からは追跡不能となった。割れた時は水中マイクの集音範囲内であったため割れる音を捉える事が出来た。
割れる音は短時間で、1〜440Hzと広く、割れ目がはいってそれが広がる音で構成されていた。音の大きさは平均で220dB-rms re 1μPa @1mで、これはエネルギーフラックス密度にすると20分間の平均で252dBμPa^2-secあった。これは214隻のスーパータンカーが発生する音に相当する。20分間で6.9e07Jのエネルギーが音として放出されたことになる。
この氷山が割れる音は近年問題視されている人工的な騒音よりも遥かに大きく、海中の騒音のかなりの部分を占めると考えられる。

音の単位の記法はブリュエル・ケアー社の記事を参照下さい。恥ずかしながら、この記法を私が見たのはこれが初めてです。
LiveScienceの解説記事によると、これはコップに氷を入れて温水を注ぐと割れてパチパチいう、その超巨大バージョンであるとのこと。音の大きさたるや、南極周辺で起きているのに赤道近辺でも観測できるだろうとのこと。ハワイに押し寄せる、サーファーが好む大きなうねりの起源は南極海の嵐だそうですが、水は波を本当によく伝えますね。

この話を聞いた時に最初に思ったのは、面白いんだけど、なんで今頃?でした。2008年に観測は終わっているはずなので。前記解説記事によれば、ここで使われた水中マイクは、元々は海底火山観測のために設置されたものだそうです。目的外だから今頃になって論文が出てきたのかな?この論文は非常に短いです。ふと誰かが、このデータを使うともう1本論文が書けると思いついてちょいと書いた?、、、とするとオレゴン州立大学のwebの解説記事には海中の騒音レベルがどうのとか、人間の出す音が海中生物に与える影響の評価とかもっともらしい話が色々書いてありますが、ぢつわ、面白い自然現象を捉える幸運に恵まれたので方針変更した、全部後付けの理由?

アルゼンチンで会議があったとき、週末に足を延ばしてパタゴニア氷原の入り口、El Calafateに行き、Perito Moreno氷河観光をした事があります。この氷河の末端はArgentino湖という湖になっているのですが、驚いたのは、氷河の末端が少しずつ崩れて湖に落ち水面を叩くとき、雷そっくりな音がすることです。すぐ近くに雷が落ちたような、バリバリっという音です。湖の反対側にある観光スポットから氷河まで300m弱、でも氷河自体に両側5kmくらいの横幅がある(記憶が多少曖昧)ので、音源から私のいる場所までの距離は300m〜5km、平均2.5kmとなります。そうすると近くに落ちた雷みたいな音になる。それと同様の、氷が少しずつ端から欠けてウルサいという話かと思いましたが、これは最後に巨大氷山が真っ二つになるときに巨大な音が出ると言う話ですね。そりゃあ多少の音は出るだろ、あれだけデカい代物が割れるんだから。こうした自然のノイズは人間の出すノイズより大きいっぽいと著者は言いますが、A53のように番号が付く巨大氷山は稀です。それでもノイズとして大きいのだろうか。そうした計算は一切論文には書いてないのでちょっと不満。

Journal reference: Dziak, R.P., M.J. Fowler, H. Matsumoto, D.R. Bohnenstiehl, M. Park, K. Warren, and W.S. Lee. 2013. Life and death sounds of Iceberg A53a. Oceanography 26(2), http://dx.doi.org/10.5670/oceanog.2013.20

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