気候変動覚え書き

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zoom RSS Richard Muller氏「私は回心した」

<<   作成日時 : 2012/08/01 21:17   >>

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バークレーのRichard Muller氏が行っている、地表気温のデータセットを新たな統計的枠組みを構築して作り直すBerkeley Earth Surface Temperature (BEST) プロジェクトについては以前記事にしたことがあります。その時の結論の骨子は「既存の3大機関(NOAA, NASA GISS, UK Hadley Center)が行っている全球平均気温の算出は、十分に注意深く行われており重大なバイアスはない」「過去の気温の測定データほぼ全てを統合したデータセットを構築した。新たな数学的枠組みを開発したお陰で、新たなデータセットは、従来のものよりも長い期間の平均気温を、より多くの観測点に基づいて提供する」「データセットは生データや構築方法と共に公開した。一般の方々も存分に利用されたい」でした。

前回は、人間の寄与があるかどうかの解析は今後の課題としていました。その結果が出たようです。そして、全ては公開し一般大衆の手の届くところに、というMuller先生の信念に基づき、結果はJGRに投稿するとともにNY Timesに寄稿されました。「The Conversion of a Climate-Change Skeptic (ある懐疑派の回心)」という無茶なタイトルがついています。BESTプロジェクトのページの情報と合わせると、今回の結論は下記かと思います。

  • データセットを改訂した。今回のデータセットの期間は1753-2011で、更に過去までのデータを取り入れることに成功した。前回とおなじく生データと解析プログラムと合わせて公開する

  • 過去250年間で、陸上の地表気温は1.5℃上昇した。過去50年間では0.87±0.05℃の上昇である。過去50年間の結論は前回とおなじである。20世紀に一日の最低気温、最高気温は共に上昇した。気温の日較差は1900年から1987年まで減少し、その後増大した。増大は明白だが理由は不明である。

  • 1753〜1850年には気温の急低下が数回見られる。これらは既知の火山噴火と対応する。大気中のイオウ100Tgあたり1.5±0.5℃気温は低下している

  • 地表気温の変化は「CO2+火山噴火」との相関が飛び抜けて高い。このことは、人間が排出したCO2が地表気温上昇の原因のほぼ全てであることを強く示唆する
    我々は可能性がありそうなデータ、指数関数や多項式といった簡単な数式、太陽の活動 (黒点数) から世界人口まで、様々なデータ系列と地表気温のデータの相関を取った。その中で、CO2の自然対数と火山噴火によるイオウの放出とを線形に足し合わせたものとの相関が飛び抜けて高かった。メタンを加えても状況は変化しない。1850年以前 (1753-1850) のデータは不確実性が高い。だがそれでも、相関は明らかである
    相関がある=原因ではないし、健全な懐疑心を止めるべきではない。だが少なくとも、他の説を唱えるハードルは高くなった。他に原因を求めるならば、それがCO2+火山と同等以上の相関を示す必要がある。

  • 帰納的に求めた陸地の気候感度は3.10±0.34℃であった。信頼区間95%。
    この気候感度のデータには3点の重大な保留がつく。第一に、今回の解析は陸上気温に限っており、そしてIPCCに依れば過去50年間での陸地が温暖化する速度は全球平均よりも約35%大きい。次に、現時点での気温上昇は過渡的なものであり、モデル計算に依れば平衡解よりも20〜50%程度過小評価となる。最後に、我々は今回CO2にすべての人間起源温室効果ガスを代表させている。他の温室効果ガスもCO2とおおよそ比例しているためだが、この仮定は常に正しくはない。
    これらの保留をした上で、今回求められた気候感度がIPCCが言う2〜4.5℃、おおよそ3℃前後という気候感度と整合しているのは注目に値する

  • 太陽放射の変動が長期トレンドに与える影響は無視できる
    我々のデータは十分に長期であり、太陽黒点数と地表気温に相関があるかを判定可能である。そして過去250年間に関して相関はない

  • 我々の結論は2007年のIPCC AR4よりも強い
    政治にもみくちゃにされたIPCC AR4の結論は、過去50年間の温暖化の大半は人為的なもの、である。1956年以前の変化は太陽活動ほかである可能性、直近の50年間についてすら自然変動がかなりの部分を占める可能性を残している。我々は新たなデータセットを構築することで、過去250年間について太陽の影響は無視できる、ほぼ全てが人間起源だと主張する

  • 今回の結論は、シミュレーションを使わずに導かれている
    従って懐疑派が問題視するGCMが含む各種の暗黙の仮定、パラメータチューニング他の問題は存在しない

  • CO2と火山を除いた残渣はAtlantic Multidecadal Oscillation (AMO)と高い相関を示す。すなわち、メキシコ湾流の変動で大半は説明可能である
    メキシコ湾流やエルニーニョ等の海の変動が地表気温にもたらす変動の大きさを考えれば、近年気温が上昇していない、いわゆる「気温の平坦化(flattening)」は統計的には有意ではない

  • 我々の結論は、温暖化について言われていることが全て正しい、を意味するものではない
    科学者は物事を疑うのが仕事である。私は依然として、世間で言われている温暖化話の大半は誇張や間違いだと考えている。カタリーナは温暖化が原因ではない。米国を襲う台風は減少している。竜巻も同様である。ホッキョクグマは氷の後退で死んでいるのではない。ヒマラヤの氷河は2035年までに消滅するのではない。現在が中世温暖期よりも気温が低い可能性はある。米国が熱波に襲われても、他の地域が涼しいことで相殺されている可能性は残る

  • 全ては公開されている。我々の結論が本当とは思えないのであれば、我々のデータ、我々の解析プログラムの何処が問題かを指摘して欲しい

  • 今後行うべきは海のデータを追加すること、および、これまでに得られた発見の意味を考えることである

    あーあ、やっちゃった。Muller先生、恨まれますよ?背教者ですからね。家に爆弾投げ込まれるくらいは覚悟して下さいね。冗談抜きで。

    原発再稼働での科学の無視の甚だしさ(科学というより工学かな?)を見て絶望的な気分になっている私としては、こうした科学者を擁する米国がまぶしく見えます。と同時にこの記事のタイトルの由来であるNY Timesのコラムのタイトル、conversionを見ると、光は陰と共にあるのだなとも思います。
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