気候変動覚え書き

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zoom RSS 2011年、夏の北極海の海氷の総括 (伝統的計測方法では歴代2位)

<<   作成日時 : 2011/10/09 13:41   >>

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1ヶ月以上間をあけてしまいました。いろいろ記録しておきたいことはあるのですが、手が回っていません。定点観測、NSIDCが行った2011年の夏の海氷の総括。

  • 海氷面積は461万km^2。2007年(430万km^2)に次いで歴代2位
  • 北極海航路、北西航路は今年も開通
    北極海航路は8月中旬に開通、9月末現在も開通したまま
    2ルートある北西航路のうち南の、カナダの多島海を抜けるアムンゼンルートは5年連続で開通。北のParry海峡を通るルートの海氷は全体として見ると記録的な低レベルで、狭い氷の帯が残って開通を阻んでいたが、9月上旬に短期間開通した
  • 2011年の溶け始めは緩やかだったが、6月に加速。Kara SeaとBarentz Seaが特に早かった。7月前半まで急速に溶け続け2007年を下回ったが、低気圧が北極海の中心にできてスローダウン、7月後半以降は2007年を下回ることはなかった。9/9に433万km^2に達したのが今年の最低 (webmaster注:今年は461万km^2という記述と矛盾しますが、これはNSIDCが通常は5日間移動平均を使い、この数字では9/9一日だけの値を使ったからのように見えます。2007年を1日単位で見ると9/16が最低で、417万km^2だったとのこと)
  • 2007〜2011年の5年間は衛星観測が1979年に始まって以来の歴代1〜5位となっている。また2011年は冬の極大と夏の極小との差分が1000万km^2以上あるが、これも5年連続。1980年代は900万km^2だった
  • 2007年にはdipole anomaryがずっと続いた。Beaufort Seaには異常に強い高気圧が、Kara Seaには異常に強い低気圧が発生し、ベーリング海峡からは強い南風と暖流が流れ込み、氷を北へと押しやった。またBeaufort SeaとChukchi Seaでは高気圧のため雲が少なく、日照が増えた
    2011年も同様だったが、2007年ほど強くも永続的でもなかった。高気圧と低気圧の位置も異なり、風は南北よりも東西に吹いた。これは特に8月の氷の動きに影響した
    925mb等圧線での気温は、2007年と大きく異なる。2007年は、Beaufort SeaとChukchi Seaで平均より5℃高かった。今年はこれらの場所ではほぼ平年並みで、北部グリーンランドとカナダの多島海では2007年以上に暖かかった
  • SSTは高かったが、2009, 10年並で、2007年には及ばなかった。日照が足りなかった、南からの暖かい海水の流入が少なかった、等の理由が考えられる。2007年にはアラスカとシベリアの沿岸で氷が早くに溶け、混合層ができて暖かい海水が氷を下から溶かした。2011年にはそうした現象は起きず、下からの氷の溶解は少なかった
  • パーフェクト・ストームであった2007年ほどではないにも関わらず2007年に迫る海氷面積であった理由の一つに、氷が薄くなっていることが挙げられる。薄い1年氷が増え、多年氷は減っている。北極点からシベリアへと伸びる氷の張り出しが溶け残ったのは多年氷の賜であろう。だが特に5年以上を経たもっとも古く厚い氷は減り続けている。かつては多年氷の避難所だった場所が墓場へと変わりつつある

    上記は氷の面積を論じていますが、PIOMASが示す氷の体積を見ると、2010年から2011年にかけての冬の氷の体積は大きく落ち込んでいました。これだけ体積が減っていれば凄いことになるぞ、逆に、もし凄いことが起きないならばPIOMASの推定には何か問題がある可能性も考えた方がいいのかな?と思っていましたが、あまり凄いことにはなりませんでした。2007年の記録更新も起きませんでした。2007年の記録が更新されなかったことについては異論があるようです。Bremen大学がJAXAのデータを使って氷山の隙間を解析したところ、2007年より2011年の方が氷がまばらで、それを補正すると2011年は新記録であった。NSIDCの9月13日のレポートではその話を紹介した上で、NSIDCは記録の継続性のため、従来とおなじ方法で計測することとした、そうすると2011年は歴代2位である、との結論です。NSIDCの結論はそれで良いとして、PIOMASって信用できるのだろうか。こうした話はおそらく、自分で観測し、データ処理アルゴリズムを書いている現場の人々には明々白々なのだろうと思うのですが、私はNSIDCのレポート (高度に処理された上澄み) をちらちら眺める程度なので、どうもよく分かりません。もしPIOMASが正しいなら、今年が駄目でも、次にパーフェクト・ストームが来たときには目を疑うような事態が起きるはずです。

    あと、海氷面積のトレンドを見ると、1990年代の後半から面積縮小の速度が上がったように見えるのが気になります。1979〜2011で見ると減少速度は10年ごとに12%、だそうですが、実は1990年代前半までの減少速度はもっとずっと小さく、1990年代の後半から大きく加速したのでは?いろいろなニュースを聞いていると、1990年代後半 or 2000年代前半から急にxxし始めた、という話が多数あります。この北極海の海氷面積の話もその一つなのでは?と疑います。

    NSIDC, 'Summer 2011: Arctic sea ice near record lows,' Arctic Sea Ice News and Analysis, October 4, 2011, from http://nsidc.org/arcticseaicenews/2011/100411.html
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