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zoom RSS 熱帯収束帯はゆっくりと北上中?

<<   作成日時 : 2009/07/09 06:29   >>

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Intertropical convergence zone(ITCZ; 熱帯収束帯)はこの300年間、少しずつ北上していることが判明した。恐らくは温暖化による。
ITCZは両半球からの貿易風が衝突することで形成され、季節に応じて北緯3〜10度の間に位置する。この位置は大陸や主要な山脈の配置、特にアンデス山脈により決まるとの説がある一方、アジアやアフリカ、アメリカの大陸部から得られた証拠からは、小氷期(1400〜1850)のときITCZは大きく南に移動していたことが示唆されていた。だが太平洋での証拠がないためはっきりしなかった。
今回、Northern Line Islands、Galapagos、Palauの4つの湖沼の堆積物を分析したところ、3世紀半前、小氷期のころITCZは赤道付近にあったことが明瞭に示された。例えば北緯5度にあるWashington Islandの場合、現在はITCZの南端にあり2900mmの降水量がある。だが400〜1000年前の堆積物からは、塩分に強い微生物が見つかる。これは乾燥していたことを示す。堆積物の水素同位体からも降水量が激変したことが示される。北緯7度にあるパラオも、小氷期中は乾燥していたことが判明。その一方、現在は乾燥しているガラパゴス諸島は小氷期中は湿潤であった。これらの分析を総合すると、1420-1560/1640年、おそらくは18世紀末までITCZはWashington Islandの南にあった。もし当時のITCZが現在同様、緯度にして7度の季節変化をしていたならば、赤道まで行っていたことになる。
この原因であるが、小氷期中は太陽放射が0.1%程度弱く、北半球がより寒冷だったためではないかと考えられる。もしそうならば、わずかな太陽放射の変化が熱帯の降水に重大な影響を及ぼしたことになる。また、1630年に現在よりも5度(550km)南にあったのだとすると、ITCZは平均で1.4km/yearで北上したことになる。これが継続するならば、今世紀末には126km北上することになる。Nature GeoScience掲載論文。
ITCZって本を読んでも全然イメージが湧かなかったんですが、ある時ひまわりによる連続写真を見ていたら、常に雲が湧いている領域が確かに赤道付近に有るんですよね。おおー、これのことか、百聞は一見にしかずと納得。

U-Washingtonのプレスリリースでは、ITCZが動いた時の、その地域の人々に与える影響を色々述べていますが、そこはプレスリリースに含まれる降雨量のグラフを眺めて、この帯の中に入るか出るかが生活に与える影響を想像すれば十分でしょう、の一言で片づけて。

ITCZが動く、ですかぁ。ITCZがなぜ北半球にあるのか、その理由を習ったことがあるか記憶を辿ってみるんですが、よく覚えてない、、、けど、最終パラグラフにある今後の予測の部分は本当かいな?と思う。平均すると1.4km/yearになるにしても、一定の速度で動いたとは直感的に思いにくい。もちろん、著者らもその辺りは先刻承知と見えて、mayとか使いまくってるけど、、、一般向けプレスリリースには出てくるこの主張が、論文のabstractには出てこないところもお茶目。

Journal reference: Julian P. Sachs et al., Nature Geoscience, June 2009: Southward movement of the Pacific intertropical convergence zone AD 1400-1850, Nature Geoscience, 2 (2009) 519-525, published online 28 June 2009; doi:10.1038/ngeo554

University of Washington (2009, July 1). Earth's Most Prominent Rainfall Feature Creeping Northward. ScienceDaily. Retrieved July 6, 2009, from http://www.sciencedaily.com/releases/2009/07/090701135535.htm

ワシントン大学のプレスリリース
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2009-07/uow-emp070109.php
http://uwnews.org/article.asp?articleid=50686

一般向けのニュース記事
http://www.enn.com/wildlife/article/40156

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
>may
補間(特に外挿)は難しいですからね(笑)。

拡がるのではなくて移動するのですか…移動する理由としては、北と南の陸地面積(比熱)の違いなのでしょうか?

元論文の図を見てみました。まさか人為攪乱(灌漑)による環境変化を拾っているわけではありませんよね…
綾波シンジ
2009/07/10 20:23
> 元論文の図を見てみました。まさか人為攪乱(灌漑)による環境変化を拾っ
> ているわけではありませんよね…

うわー。私は原論文見れないので&この分野の知識ゼロなので何もコメント出来ませんが、それは勘弁して欲しい。
Abstractからは、まっとうな著者に見えましたが。
Polly
2009/07/10 23:51

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