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zoom RSS 1998年以降の全球平均気温上昇停滞の原因探し:北極の気温推定によるバイアス

<<   作成日時 : 2014/01/05 00:59   >>

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論文が出たのが昨年の11月12日なので、ちょっと古い話です。
全球平均気温は複数の機関により計算されているが、それらは観測点がない場所の扱いが異なっている。HadleyセンターのHadCRUT4は観測点がない場所は空白域としており、全球の84%しかカバーしていない。特に北極、南極、アフリカに多くの空白域がある。NASAのGISTEMPはこれを外挿により補っているが、SSTの観測方法の変化に伴う補正が行われていない(HadCRUT4は行っている)。BerkeleyのBESTプロジェクトはkrigingと呼ばれる外挿と内挿を組み合わせた手法を用いているが、陸上のみを対象としている。
そこで今回、Kriging法の海上への適用と、アラバマ大Huntsville校の衛星による地表気温観測を組み入れたハイブリッド法とを試み、データセットから漏れている観測と比較することで評価した。どちらも単に除外するHadCRUT4よりも大幅に良い結果となった。近い場所の気温を推定する能力はどちらも高く、遠い場所を推定する能力はハイブリッド法が、SSTを推定する能力はkrigingが高かった。
ハイブリッド法によれば、1997-2012に全球平均気温は0.119+-0.076℃/10年の率で上昇している。Krigingでは0.108+-0.073℃/10年である。NOAAは0.043℃/10年、HadCRUT4は0.046℃/10年、NASA GISTEMPは0.080℃/10年の上昇率なので、従来研究は近年の地表気温上昇を過小評価していたことになる。
1998年の大エルニーニョに伴い全球平均気温が史上最高を記録した後、記録が一向に更新されず、CO2温暖化説はウソだったのでは? という議論があります。1998年は大エルニーニョという特別な年だったことを考えると、1998年を超えてないからといって軽々しく「上昇が止まった」とは言える筈もありません。長期(60ヶ月とか132カ月とか) の移動平均を取ると気温は緩やかながら上昇を続けていますし、2002年や2005年、そして2010年は統計の取り方によっては1998年の記録を超えているからです。2013年もかなりの高温だったようです。気象庁によれば1998年(+0.22℃)に次いで堂々の2位(+0.20℃)。
とはいえ、1998年からすでに15年。記録が大幅に更新されるのに十分な時間です。その間CO2は史上最速のペースで排出され続けていたのですし。それによって懐疑派の方々が勢いづくのはともかく、CO2がこれだけ増加しているのに気温が上昇しないのは非常に気持ち悪いことです。CO2が赤外領域に吸収バンドを持つのは間違いないので。では、なぜ気温は上昇しないのか。深海に熱が輸送されているとか、Pacific Decadal Oscillation (PDO)が負のフェーズに入ったとか、色々な説が出ています。これはこの問題を、観測点が欠けている地点の扱い方の不備に求めている訳です。
北極海の気温の推定方法に問題があるのでは?は昔から言われていた話です。気温上昇が停滞したとされる1998-2013に北極海の気温が全球平均を大きく上回って上昇したのは明々白々でした、それを組み入れていないHadCRUT4に、適切な推定方法を開発して組み入れれば、HadCRUT4よりも大きな上昇幅となるのは容易に想像できました。問題は、その結果がどの程度の上昇率となるか、です。北極は面積的には小さいので、大勢に影響なし、は十分に考えられました。0.119+-0.076℃/decadeとのこと。これはなかなかの値です。100年で1.2℃ですから。2000年代初頭はそもそも正のフィードバックが小さく大きな気温上昇は起きないと予想されていました、何らかの一時的イベント(例えばPDOが負のフェーズに変化)により上昇幅が抑えらた上で0.12℃/decade上昇しているならば、温暖化は急速に進行中と言って良いでしょう。ううむ。

Global warming since 1997 more than twice as fast as previously estimated, new study shows, Guardian, Nov.13, 2013, from http://www.theguardian.com/environment/climate-consensus-97-per-cent/2013/nov/13/global-warming-underestimated-by-half

Journal reference: Kevin Cowtan, Robert G. Way, Coverage bias in the HadCRUT4 temperature series and its impact on recent temperature trends, Wiley Online Library, DOI: 10.1002/qj.2297

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