気候変動覚え書き

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zoom RSS 人為的温暖化を否定する査読つき論文: 0.17%

<<   作成日時 : 2012/12/06 23:51   >>

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昔(2005年)、Naomi Oreskes氏が学術論文のデータベースを漁り、人為的温暖化を否定した学術論文(=査読つき論文)は皆無であった、と発表しました。期間を広げ、キーワードも増やした調査が出たようです。
1991-2012に発表された地球レベルの気候変動を論じる査読つき論文のうち、人為的温暖化を否定する論文の割合を調査したところ、13950件中24件 (=0.17%) であった。
Web of Science上で "global warming"、または "global climate change" をTopicとして含む論文を検索したところ、1991/01/01 - 2012/11/09で13950件存在した。ここで"Review" または "Editorial Material"とされている論文は除外している。これら13950件の論文のタイトル、要旨、場合によっては本文を読み、人為的温暖化を否定しているかを判断したところ、24件(=0.17%)の論文が否定していた(以下、否定論文)。
否定していると判断する基準は「グローバルな温暖化の理論は間違っている」または「別の要因の方が人為的要因よりも温暖化をより良く説明する」と明確かつ明示的に述べることである。単に矛盾点を見つけた、マイナーな問題が判明した、疑わしい点が出てきた、という論文は否定論文とはしていない。
これはOreskes論文 (Science, 2005) の継承である。Oreskesは1993-2003に発行された論文について "global climate change" をキーワードとして検索し、抽出された論文928本のabstractを読み、否定論文は0件とした。Oreskes論文は多数の批判を浴びたが、反証が示されたことはない。おなじ期間、キーワードとしたとき、当方の調査でも否定論文は0件となった。
我々が使用したキーワードのみでは検索から漏れる論文が存在し得る。だが漏れた論文では否定論文の割合が0.17%よりも高いと考える理由は存在しない。
もし人為的温暖化を否定することに成功したならば、その論文は史上最高レベルの論文引用回数を誇ることとなるのは疑いない。そこで論文の引用回数を調べたところ、否定論文24本は合計で117回引用されていた。平均5回弱であり、19回という平均的引用回数よりも顕著に低い。もっとも引用された論文は17回で、1回も引用されていない論文が4本あった。
24本の論文の掲載先は18の論文誌に分散し、論点も互いに異なっている。従って「科学界の偏見のため論文が掲載されない」という主張は誤りであるし、否定する論文間ですら互いをサポートしていない。
人為的温暖化を否定する論者の数名はメディア、議会の公聴会、著作、講義、ウェブ等で著名となっている。だがこれら否定論文の中に彼ら著名人の名前はほとんど存在しない。従って、彼らは科学根拠は持たないと結論付けることができる。
以上より、科学コミュニティ内部で意見が分裂しているという見解は誤りである、否定論者は科学コミュニティ内部で事実上全く影響力を持っていない、彼らは思い違いをしたメディアや政治家等の力により影響力を持つに至ったと結論づけられる。
自分で論文を書いていないからと言って、科学的根拠を持っていない、は言いすぎだと思うけど。

人為的温暖化を否定している、と判断された24件の論文の書誌情報アブストラクトがまとめられています。ちらっと見ようかと思いましたがそこまで暇じゃないのでパス。だって「もし人為的温暖化を否定することに成功したならば、その論文は史上最高レベルの論文引用回数を誇ることとなるのは疑いない」は全くその通りでしょう。確実にノーベル賞です。オゾンホールですらノーベル賞取ったのですから。これほどの巨大ニンジンがぶら下がっているにもかかわらず全然引用されていない(後に続く研究がない)ということは、駄目駄目な論文なのでしょう。

そんな駄目駄目な論文が載るのか?と思われるかも知れませんが、はい、載ります。白状すると、私はある論文誌(温暖化とは全く無関係です)の編集委員を務めていた時、通すべきではない論文を1本通しました。駄目駄目な論文を何回も少しずつ変えながら送りつけてきたのですね。査読者を選ぶのは編集委員の仕事ですが、みな「頼まれたから1回はやりましたが、2回は勘弁してください」と言います。ごもっとも。仕方ないので別の人にお願いする。そうして何度かやっているうちに、査読者全員が優しい人々の集まり、が起きてしまいました。さあ困った。編集委員権限で査読者の一致した見解を覆すか?、、、まあ、問題設定が妄想なだけで、解き方は正しいんだし、稀に変な論文が載ったからと言ってこの雑誌の権威が揺らぐ訳でもなかろう。

なぜ学術雑誌に否定論文は掲載されないのか、査読を通らないのか。自分なりに想像してみるに、

例えば「CO2は真の原因ではない。それは太陽だ」と主張したいならば
(a) CO2は原因ではない、CO2が激増しても地球の気温に大きな影響がないことを示す
(b) 地球の気温変動の主要部が太陽の変動で説明できることを示す
の両方を行う必要があります。この2つは独立事象ですし、気象学の常識は「気候変動を考える上では太陽もCO2もどちらも重要」です。どちらか一方だけが原因、と主張したいなら(a)(b)どちらが欠けても駄目です。

にも関わらず、本やwebを見ている限りでは「真の原因はXXX」と主張する人はまず大抵(a)を無視するのですね。「CO2が原因であるはずがない」の一言で片づけて(b)の証明だけに熱中する人が大多数です。でも気象学の常識からすると(a)こそが現在の温暖化騒ぎの出発点です。(b)だけ完ぺきに証明しても「なるほどぉ。おっかしいな、温暖化のもっともらしい説明が2つ出来ちゃった。どっちが正しいんだ?」となるだけです。出発点である(a)を無視した主張を論文化しても「科学的に誤り」「論外」と不採録判定を食らうのは当然です。

なお(b)は一縷の望みくらいは残っていなくもないと理解しています。温暖化の一部分に限定して「XXXが原因」と主張するのは普通のことです。気候は様々な要因で変化します。その中の一つが僅かな温暖化であるのは普通であり、IPCC AR4は様々な要因の大きさ比較をしています。多数の要因の中でCO2が圧倒的に大きい、が現在の理解ですがCO2が意外と小さくXXXが意外と大きい、となる可能性は絶無ではないと理解しています。でも(a)は孫悟空がお釈迦さまに挑んだのと同じくらい無理ではと個人的には思います。気温の3次元構造(高度50kmで気温は極大となる等々という複雑な代物)、という気象学の長年の謎を物理学の基本的法則と水蒸気、CO2, オゾンの物性だけを使って鮮やかに説明してみせた真鍋淑郎先生の1964年Manabe=Strickler論文を否定した上で、代わりの説明を示す必要があるので。温暖化を否定する人たちは一般に地表気温だけを問題にしますが、世の中をナメて貰っては困ります。気温の3次元構造をきちんと説明してくれないとね。

'Why Climate Deniers Have No Scientific Credibility - In One Pie Chart', guest post by James Lawrence Powell, 2012-11-15, from http://www.desmogblog.com/2012/11/15/why-climate-deniers-have-no-credibility-science-one-pie-chart

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