気候変動覚え書き

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zoom RSS J.ラブロック、私の気候変動予測は行き過ぎていた、自分はalarmistであった

<<   作成日時 : 2012/05/22 22:33   >>

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と発言したと財形新聞が報じているのを地球温暖化ニュース経由で知り、どこまでが行き過ぎだと言ったのか元記事を読んでみました(いえ、あの、その、当田舎ブログの歴代最高アクセス数は「ロンボルグが転向」という記事だったりするので(笑))。

財形新聞さんの記事によればラブロック氏は2006年、このまま地球温暖化が進めば「今世紀末までに何十億もの人が死に、ほんの数組の男女だけが北極で生き延びる」と書いた。あれは書き過ぎであった、自分はalarmist (無意味に・趣味的にアラームを上げる人間) であった。そしてアル・ゴア氏も同類だ、と述べたとのこと。

読んでみたところ財形新聞さんに書かれていなかった重要ポイントはSlashdot.jpでの本記事のスレで、Anonymous Coward氏が2012年04月27日 12時01分 (#2143888)で簡潔にまとめておられる

> それに関連して、「21世紀末には人類の80%が死ぬ」とか、「温暖化抑止は
> もう手遅れ、引き返せない」とかおっしゃってましたからね。
> そりゃ、いくらなんでも過激すぎるだろうと。
> ただ、タレコミからは省略されてますが、彼自身が温暖化の否定派に転向
> したわけじゃないですね。
>
> > “We will have global warming, but it’s been deferred a bit,”
> > Lovelock said.
> > 「我々は地球温暖化を経験することになるだろう。しかし、それは少し
> > だけ延期になった」と、ラブロックは述べた。

で尽きていました。その他にも、気候システムを理解したと思ったのだが甘かった、海の振る舞いをもっとよく知る必要があるとかいくつか述べていましたが、重要な点は上記で尽きています。なんだ、それならばごく常識的な線に後退しただけではないの。

ロンボルグ氏が温暖化の議論で特異な地位を占めているのと同様、ラブロック氏も特異な位置にあります。ラブロックと言えばガイア。あの怪しい宗教がかった概念。その教祖様として環境系の活動家達に強い影響力を誇ります。
このため私は氏のことを怪しいアレ系の人物に違いないと思っていたのですが「ガイアの復讐」を実際に読んでみたところ、極めてまっとうな化け物クラスの科学者でした。ガイアの基になる発想も仰天しつつ納得しました。そう理解する私は、氏が2006年「今世紀末までに何十億もの人が死に、ほんの数組の男女だけが北極で生き延びる」などという過激な発言をした理由に興味がわきます。当時86歳。ボケた?それとも?

Slashdot.jpではスレの冒頭で

> as the century progresses, the temperature will rise 8 degrees
> centigrade in temperate regions and 5 degrees in the tropics.
>
> こんな極端な予測、気候学や気象学で聞いたことないわ。彼はどうやっ
> て見積もったの。

と書かれてますが、これは投稿者の誤解ですね。8℃の上昇なんて聞いたことない、対策を全く取らないA1FIシナリオでも高々5〜6℃だ、と思ったのでしょうが、地球全体の平均が4℃上昇するとき、海は3℃弱、陸地は7℃上昇します。温帯地方8℃、赤道地方5℃の上昇はそれほど極端な仮定を必要としません。

問題は「今世紀末までに何十億もの人が死に、ほんの数組の男女だけが北極で生き延びる」ですね。私はすぐ悲観論に走る人間です、これをボケ老人の妄想と笑い飛ばす気にならんです。

というのは、現代文明が崩壊したら何十億人が死ぬ、は決して誇張ではないからです。気温が5℃や8℃上昇したからといって人間、そう簡単に死にません。でも現代文明が崩壊して、例えば現代技術の華、半導体微細加工技術が失われたら?8bitマイコンならTTLと片面基板で代用品が作れますが、現代の最先端CPUはあり合わせの材料で作れる代物ではありません。広範な産業インフラが失われたら知識だけあっても作れません。そうなればコンピュータと光ファイバ通信が失われます。そして機器の自動制御が全て止まり、生産性は大きく低下します。現在の人口を維持できると思えません。であれば我々が問うべきは「赤道地方が5℃、温帯地方が8℃上昇し、降雨パターンが大きく変動して農林水産業に地滑り的大変動が起き、海面が1m/1世紀で上昇し続ける中で現代文明は本当に維持できるのか」です。そして21世紀末なら石油は確実に枯渇しています。合成石油の原料となる有機物はまだ大量にある筈ですが、あれらは現在のところ投入エネルギーvs回収エネルギーの比が非常に悪い。その中で我々はきちんと適応できるのか。私にはよく分かりません。でも、笑い飛ばせるほど軽いネタとも思えません。

とか考えると、ラブロック氏の過激な発言は、それほど過激には見えないのですが、、、ダイヤー氏の「地球温暖化戦争」では、気候学者たちはほぼ全員、ラブロックの主張を真剣に受け止めていた。ある人間いわく、未知の領域に大胆に踏み込んでいるからやりすぎとも言えるが、論理的におかしいところは皆無だ、だからあり得なくもない筈で、それが悩ましい、という趣旨の記述がされていました。それを読んで私、自分の感触はそれほど狂っていないのかなと思っていたのですが、、、ラブロック氏は自説を撤回したとのこと。何故?

想像するにラブロック氏は、やり過ぎとされる氏の主張を、ベストシナリオだと本気で思っておられるのでしょうね。そして、どうやらベストシナリオではなさそうだ、ならば修正が必要だと考えたのかな、とインタビュー記事ほかを読んでいて思います。この憶測が正しいとすると、ラブロック氏に一目も二目もおく私は、最も可能性の高いシナリオが変わるというなら大いに結構なことだ、と思いますが、本当のところはどうなんでしょうね。

なお、次回の投稿を予定している記事も、現代の気候科学がいかに怪しいかという話です。そんなことは私には常識ではあります(大学時代、すごい話を沢山見聞きしましたから)。足場が不安定な中でどうやって真っ直ぐ立つか、立ち続けるかが大人というものの価値だと思っていますが、やれやれ。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
 お久しぶりです。
 私、ラブロックを初めて知ったのはかのガイア仮説ではなく、ECD検出器の発明者としてでした。大学の講義で最初に聞いたのですが、すごいものだと感心したものでした。
 ガイアの復讐、読まなければと思いながらもまだ読んでいませんでした。極めてまっとうでしたか。何となく先入観があったのですが、今度読んでみます。
mushi
2012/05/23 22:38
mushi様、亀レス申し訳ございません。出張前後は忙しくて、、、そして私はこの6月は3週間半海外なので、、、
ガイアの復讐の読書感想文は大昔に読んでアップしたつもりだったのですが、今みたら忘れていたようですね。あとでアップしておきます。
Polly
2012/06/08 01:14

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