気候変動覚え書き

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zoom RSS 宇宙への観光旅行は気候への影響大

<<   作成日時 : 2010/11/10 21:09   >>

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宇宙への観光旅行が気候に及ぼす影響をモデル計算により見積もった。ロケットの排気中の黒色炭素(スス)が成層圏上層に対流し、大気の循環とオゾンの分布に多大な影響を及ぼし得ることが分かった。南北両極の地表気温は最大1℃上昇し、海氷は5〜15%減少する。
従来の商業ロケットはケロシンと液体酸素の混合物を燃焼させる。だがいくつかの宇宙ロケットは経済性に勝る他の燃料を試みている。例えばVirgin GalacticはSpaceShipOneをベースに開発しているが、SpaceShipOneは酸化剤として液体の亜酸化窒素、推進剤として固体の合成ゴムを使用したハイブリッドロケットであった。これは従来型燃料に比べ多量の黒色炭素を発生させると見込まれている。
商用飛行機が排出する黒色炭素は雨や雲により大気中から短期間で除去されるが、ロケットは雨や雲がない高々度に達するため、その排気中の黒色炭素は成層圏上層に3〜10年滞留する。ロケットが年に1000回 (業者が宣伝している頻度) 打ち上げられ、600トン/年の黒色炭素がニューメキシコLas Cruces (2010年10月、ロケット打ち上げ場Spaceport Americaがオープンした場所; 北緯32度) から注入されると仮定して大循環モデルを走らせた。その結果、黒色炭素の層が注入場所の南北10度の成層圏に形成された。具体的には、黒色炭素の約80%が北半球に、北緯25〜45度を中心に滞留した。
この黒色炭素の層は成層圏の気温を上昇させ、赤道から極地方への大気の流れを強め、より多くのオゾンを赤道から極へと輸送する。熱帯および亜熱帯のオゾンは1.7%減少し、極地方のオゾンは5〜6%増加する。恐らくはその結果として、熱帯と亜熱帯の気温は0.4度低下し、極地方の気温は上昇する。極地方の上昇幅は1年の大半で0.2℃であるが冬は一時的に1℃に達する。ただし細部はより詳細なモデル解析が必要である。
Geophysical Research Letters掲載論文。
ここまで影響出ますか。高度50kmだ、80kmだというと大気が薄く、吸収スペクトルの広がりが狭まって間を赤外線がすり抜け易くなってくる領域なので、そこに黒色炭素なんてものを持ち込めば影響が大きい、は容易に想像が出来ますが、ここまでとは。あと、排気中の水蒸気の影響は大丈夫なのだろうか、CO2は多分無視してOKだろうけど?と素人的には思います。飛行機が温暖化に及ぼす影響は主に水蒸気が原因と聞くので。

この計算には多数の仮定が含まれるとのこと。特に重要なのは1飛行あたりの黒色炭素の発生量です。ケロシン1kgが燃焼するとき20〜40gの黒色炭素が発生することが知られており、またハイブリッドエンジンは不完全燃焼を起こしやすく、より多くの黒色炭素を発生すると見込まれている。そこで燃料1kgあたり60gの黒色炭素を発生すると仮定した。これは当てずっぽうという訳ではないが、実際にロケットを作っているVirgin Galacticの技術者たちと情報交換して決めた値ではない、だそうです。

ちょっと気になるのが、本筋ではないのですが、ロケットと航空機の影響の比較。大型旅客機って成層圏飛ぶから、ロケット同様、雨や雲で黒色炭素が除去されることはないのでは?と思うのですが。高々11km、成層圏といっても対流圏ギリギリです、対流圏となっている場合も多い、そもそも成層圏といっても大気の流れはそれなりにあるし圏界面も動く、だから影響はそれほど大きくない、、、のかな?飛行機のカーボンオフセットの宣伝を見るともっともらしい値が出てくるのですが、あの計算の根拠を見たことがない。いつか調べてみよう。

著者たちはめげない人々らしく「この研究は、宇宙旅行を止めさせようとして行っているのではない。急ぎロケット業者たちを含む関係者を集めて協議し、宇宙旅行が正常に行われるよう努力したい」とのこと。さすがアメリカ人。この前向きな姿勢はつくづく感心します。でも、個人的にはやはり、こんな馬鹿な話は即座に中止すべきと思います。だって、代わりがあるんだから。そう、軌道エレベーターです。あれ、楽しそう。

Journal reference: Ross, M., M. Mills, and D. Toohey (2010), Potential climate impact of black carbon emitted by rockets, Geophys. Res. Lett., doi:10.1029/2010GL044548, in press.

このニュースはあちこちで取り上げられましたが、まずは事実関係を、という当方にとって最も有用だったのは圧倒的にNature News、だいぶ落ちますが次にNewScientistでしたので、その2つを下記ではreferしておきます。

Adam Mann, "Space tourism to accelerate climate change," Nature News, 22 October 2010, from http://www.nature.com/news/2010/101022/full/news.2010.558.html also available from http://www.k8science.org/news/news.cfm?art=6835

David Shiga, "Space tourism could have big impact on climate," NewScientist, 26 October 2010, from http://www.newscientist.com/article/dn19626-space-tourism-could-have-big-impact-on-climate.html

2010/11/12追記: SpaceShipOneの燃料の記述はwikipedia日本語版(2010/11/10版)の記述によることを付言しておきます。いくつか見た中でwikiが最も簡潔で分かりやすかったので。

2010/11/12修正: 感想の部分: 高度50km, 80kmについて元の文書では「何もない」と記述していましたが、ここはオゾン層による吸収が盛んな高さであり、語弊のある表現なので修正しました。またパラグラフ間のつながりが分かりにくかったので順番を変更し、つなぎの文句を入れました。

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