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zoom RSS 北極海の海氷が極小を過ぎる:2010年夏は史上3番目の少なさ

<<   作成日時 : 2010/09/19 01:35   >>

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NSIDCが9月15日付けで、北極海の海氷は9月10日に今年(2010年)の極小に到達したようだと速報しました。注意書きがついており、これは速報である、我々は2005年には予測を誤った、確定報は9月が終わってからである。了解。ついでに、JAXAのデータだと9月17日現在まだ縮小が続いているのは秘密。NSIDCの速報いわく
  1. 今年の極小は476万km^2。これは史上3番目の小ささ。2007年(412, 今年-63), 2008年(452, 今年-24)に次ぎ、これまでの3位である2009年(510, 今年+34)を下回った。
  2. 氷が溶けた期間(極大から極小まで)は163日間で、1979年以来の衛星観測史上もっとも短い。5月と6月の溶ける速度は史上最速であった。
  3. 2007年と比べると、東シベリア海に氷が大きく残っている一方、Beaufort海と東グリーンランドでは氷が減っている。この結果、2010年は北西航路(カナダ沿い)北極海航路(シベリア沿い; 北東航路とも言う)も大きく開いた。
  4. NASAのModerate Resolution Imaging Spectroradiometer (MODIS)を見ると、東シベリア海の北西部ほかがこの数日、凍り始めていることが分かる。その一方、まだ減少中の海域もある。海水の熱によるものと思われる。
なるほど。北西、北極海両航路が今年は広々と、同時に開いたので北極周回が可能となった、ノルウェーの探検船Borge OuslandとロシアのヨットPeter Iがこれを計画中と9月7日付レポートにありましたが、どうなりましたかね。まだ航路はオープンしているようですが。
日本ではJAXAが毎日データを発表しており(1)(2)、アニメ機能がついているなど色々と便利で後で出てくる記者さんもよく使っているようですが、そちらのデータだとまだ減少が続いており、今483万km^2。2007年は425万km^2、2008年は471万km^2だった、とされています。
米国NSIDCが有り難いのは毎月1or2回解説を出すことです(今回の速報もその一部)。それをずっと読んできて、また他の周辺情報を合わせると、今年は春の訪れが遅く、2月から3月にかけて氷の面積が大きく増えて1979-2000年の平均すれすれまで行き「北極の氷は減少していない!」という人も現れる始末でしたが、冬のラストスパートで出来た氷は薄かったので溶け始めると早く、北極ダイポールが起きたこともあって6月の海氷面積は史上最低を記録、だが7月に入って北極ダイポールが崩れると共にスピードが落ち、8月後半から改めて頑張ったものの2位に近い3位まで追い込んだところで力尽きた、というのが大まかな状況のようです。

ある記者がNSIDCの科学者に非公式に聞いた話では
今年の4月末から8月末で5年超の氷は6割減少した。
大気の状態は2007, 2008年ほど氷を溶かしやすくなかったこと、Chukchi海では氷が吹き寄せられて面積が減少していたこと、9月に入っても氷が減少していること、その量が大気の熱から計算される量の2倍に達し、溶ける速度も2008年には及ばないが07, 09年を上回ること、等々を総合すると、今年これほど溶けたのは氷が薄くなっていたことと、海水温(SST)が高かったことが原因ではと自分は考えている。
だそうです。長年現場にいる人間は大きくは外さないものですが、まあ、公式発表or査読論文を待ちましょう。
なお、北極海の海氷が溶ける原因として暖かい海水の流入が重要だ、を捉えて「だから北極の海氷減少は温暖化の結果ではない」という不思議な主張する人々がいますが、勘弁して欲しい。大気が温暖化するときには、海水温も上昇するのです。

あと、面積で見れば今年は過去3番目でしたが、体積で見れば氷は着実に減っており、今年は史上最低を更新した可能性が高いようです。NSIDCがじき発表するという図によれば、2010年3月時点で5年以上の多年氷は希になっており、今年はそこから更に60%減少したということであれば、そうした多年氷(=分厚い氷)は絶滅寸前ということなんでしょう。これは氷の厚さを減少させるはず。そして、面積的に最小であった2007年の夏よりも2008年は体積的には酷かったとされること、今年と2008年は面積的によい勝負であること、から上記の図の解説記事 (この方は記者さんであり専門家ではありませんが) では、今年は史上最低ではと書いています。PIOMASのグラフでは史上最低は2009年であって2008年ではないのが気になりますが、それはともかく、同グラフを見ると、季節調整後の値としては2010年(の6月頃)はぶっちぎりの史上最低となっていますね。これが本当なら、そう遠くない時期に我々は再び、びっくり仰天な夏の極小を見ることになるでしょう。氷が薄くなっているため風の具合で大きく広がったり小さくまとまったりの変化が激しくなっている、予測がしづらくなってきた、と誰かがどこかでぼやいていたし(出典失念)。
2007年に氷が大きく減少した後いろいろと原因探しが行われ、Nares海峡に通常できる氷のアーチが2007年には出来ずそこから氷が継続的に流出した、流出した氷は量的にはFram海峡の10%と少ないが最も分厚い氷たちでありボディーブローのように効く、なんて議論がありましたが、そんなことを議論する段階は過ぎたのでしょうか。

NSIDC, Arctic sea ice reaches annual minimum extent, Arctic Sea Ice News & Analysis, September 15, 2010, from http://nsidc.org/arcticseaicenews/2010/091510.html

2010/10/20追記: NSIDCの10/4付の記事(今年の総まとめ)に依れば、ロシアとノルウェーの船はどちらも北極周回に成功したようですね。

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内 容 ニックネーム/日時
どうすれば大気が約4000倍の熱容量と約24倍の熱伝導率を持つ海面の温度を同一レベルで引き上げると考えられるのか全く不思議だ。 気温が上昇しても海面水温はほとんど上昇しないでむしろ海面水温に気温は多大の影響を受けると考えるべきだろう。
 それに氷を大気中に放置してもその溶け方は極めて遅く水の中に入れておけば素早くとけることも常識として知っているはずなのになぜ気温にばかり原因を求めるのだろう。
提示
2010/09/21 20:21
仰るとおり、大気は海洋に比べ微々たる熱容量しか持っていません。ですから私は、大気がある時点で持っている熱が海洋を暖めるに十分だとは考えていません。従いまして「そんな不思議なことは提示様同様、私も考えていません」がお答えです。
問題は、では近年、大気のみならず浅海の平均温度が上がっているは何故か、です。海水の中に熱源がある?海底火山が?違いますよね。では海水温が変動するのはなぜか、そもそも海水温は何で決まるのか。我々が考えるべきはそこでしょう。
Polly
2010/09/22 23:35

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