気候変動覚え書き

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zoom RSS 読了:「地球温暖化戦争」グウィン・ダイヤー

<<   作成日時 : 2009/12/21 21:18   >>

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悲観主義者と自認する軍事アナリスト、冷戦時代は核戦争を論じていた元海軍さんが「ひとつの思考実験」として「暗い色眼鏡をとおしてこの世界を眺め」て書いた国際政治の本です。著者は気候学は素人と思われますが、多くの一流学者へのインタビューを通じて最新の気候学をバランス良く把握しておられるようです。この本にはカッサンドラ的言辞が充ち満ちていますが、門外漢の寝言として笑い飛ばせないのが無念です。

著者は言います。気候変動の専門家は気候変動を語るとき、賢明にも政治的、人口学的、戦略的影響には決して言及しない。ではそれを正面から取り上げるのは誰か。これは最大級の危機なのだから、当然、軍隊だ。

冒頭で著者は4つの結論を提示します。第一の結論。
気候変動は、各界の識者の経験則を上回るテンポで進行している。
気候に関連する業界の末端現場で活動している人たち(科学者や政策立案者も、現場の人間については、おなじことがいえる)と話をしてみると、会話の端々になにか押し殺したような焦りの臭いを感じるはずである。たとえ人類がこの事態を乗り切れたにしろ、大量の犠牲を出さずに済むことは、金輪際ありえないだろう。
はい、全面的に賛成です。私も押し殺した焦りを共有します。気候学を勉強し直してみてあまりの深刻さに衝撃を受けました。気候変動は、やばい。

残り3つの結論は本をお読み頂くとして、第1章冒頭に掲げられているシナリオ。
第一のシナリオ 西暦2045年
[地球の平均気温は1990年比2.8℃上昇/地球の総人口は58億人]

2036年、EU(欧州連合)は最終的解体へといたった。南の加盟国から、北の加盟国を目指した大量移住者の圧力に、ついに抗しきれなくなったのだ。その後に結成された「北部連合」---フランス、ベネルクス三国、ドイツ、スカンジナビア諸国、ポーランド、その他ハプスブルク帝国の旧領地で構成---は、国境封鎖をなんとか成功させ、いまや飢饉になやむ地中海諸国から難民をいっさい受け付けず、それなりに暮らしていた。イタリアは、いっそう厳しい飢饉に見舞われた北アフリカから、難民が大挙して雪崩れこんだことでローマ以南をほぼ席巻され、国家そのものが解体してしまった。スペイン、パダニア(旧イタリア北部)、トルコの三国は、それぞれに核兵器を入手し、自分たちよりましな食生活を送っている北の国々に、食い物をシェアしろと迫っていたけれど、ほとんど成功していなかった。そしてイギリスは、国民を総動員して食糧の自給だけはからくも実現し、大陸とは縁を切り、増強した核の報復能力を盾に、島国に立てこもっていた。
気候変動によって、食料生産の面で一番の受益者となった勝ち組ロシアは、まぎれもなくアジア最大の大国となった。しかしいま、中国がシベリアの国境地帯で新たな脅威になろうとしていた。...インドは...日本は...アラブは...米国は...
いわゆる「人間の活動を原因とする」(人為起源の)温室効果ガスの発生量は2032年、1990年を47パーセント上回る水準まで上昇したが、その後減少に転じた。石油の供給量が低下したことと、中国の内戦がその主な原因である。だがしかし、カナダの北極圏や米アラスカ州、そしてシベリアにある永久凍土の融解によって発生した、数千メガトンのメタンおよび二酸化炭素の放出量は、人類の懸命な削減分をいまやトータルで凌駕しており、すでに状況は人間に制御可能なレベルを超えつつあった。ヒト由来分に「ネオ・ナチュラル(新たな自然由来)」分を加えた温室効果ガスの総量は、現在もまだ急増中であり、二十一世紀末の地球の平均気温は、1990年比で8℃ないし9℃上昇すると予想されていた。
冗談はほどほどにね、と言いたいところですが気候学者たちはいま、2060年に産業革命前比で4℃上昇する可能性を議論しています。ならば、あってはならないことが積み重ならない限り呼ばれない軍事専門家が「自分たちが不幸にして呼ばれたなら、その時世界はどうなっているのか」の仮定としては合理的でしょう。

地球温暖化戦争
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グウィン・ダイヤー

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