気候変動覚え書き

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zoom RSS 南極はすでに温暖化

<<   作成日時 : 2009/01/25 01:46   >>

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一般マスコミ等でも既に報じられているようですが
衛星データと南極の観測地点を用いて気温の月次アノマリを推測する、内挿に基づく統計学的な手法を開発した。内挿は、空間的な共分散構造を使って行う。この手法は観測地点が互いに遠く離れている場合には信頼出来ないとも言われているが、南極大陸の場合は空間的コヒーレンスが高いため、遠く離れていることは必ずしも問題とはならない。
1957-2006の50年間の気温変化は10年あたり、南極全体で0.12+-0.07C (95%信頼区間)、西南極、南極半島、東南極は各々0.17+-0.06C, 0.11+-0.04C, 0.10+-0.07Cであった。こうした温暖化傾向は冬と春で最も強く、秋の東南極は寒冷化していたが全体としては温暖化していた。
General Circulation Model (GCM) で上記空間パターンと長期トレンドの主要部は再現できた。それを見るに、西南極の温暖化は従来言われていた西風の強まりとは関係せず、局地的な大気循環と、それに伴うSea Surface Temperature (SST) と海氷が主因である。
Nature1月22日号の表紙を飾る論文。
Natureの表紙を飾った論文ですから間違っているに決まっているのですが、万が一本当だとすると衝撃的ですね。要は、我々は南極について何も分かっていなかったんだ!という話かと。いや勿論、分かっているとは誰も思っていなかったでしょうけど。しかも、このところ北極海の海氷面積の減少やら氷河の加速やら、温暖化の進行が科学者の従来予想より速いことを示す観測データが続いていますからね。そこへこんな強力な玉を投げ込まれると。

論文全文が公開されていたので、そんな暇はないのに思わず読みはじめ、、、全然わからん。ショック。昔の俺が不勉強だったからか、遠い昔だから忘れているのか?たぶん両方だな。更には、1/3読んだところで中断、論文を再読込しようとしたら今度はアカウントを要求され、結局残りは読めず。なぜ?あそこは私のような超短期の滞在者でもNatureが読めるよう契約していた?あそこならあり得るか?いずれにせよ、さらにショック。

まずは事実確認でしょうか。Natureの表紙を飾り、多くの一般紙で報道された今、少なからぬ研究者が目を皿のようにして論文の穴 or 補強材料を探しているのは間違いないでしょう。彼らのリアクションが楽しみです。

Journal reference: Eric J. Steig, David P. Schneider, Scott D. Rutherford, Michael E. Mann, Josefino C. Comiso & Drew T. Shindell, 'Warming of the Antarctic ice-sheet surface since the 1957 International Geophysical Year,' p459, doi:10.1038/nature07669

University of Washington (2009, January 22). Much Of Antarctica Is Warming More Than Previously Thought. ScienceDaily. Retrieved January 23, 2009, from http://www.sciencedaily.com/releases/2009/01/090121144049.htm

2009/02/13追記: The Guardianに「科学者たちはつい先日まで、南極に変化がないのは数値モデルの予測通りだと言っていたのに、この論文が出たとたん、やっぱり温暖化していた、数値モデル通りだと言い始めた。どうして連中の数値モデルが信用出来ると?」という批判が掲載されています。いやごもっとも。私もこの論文のabstractを見た時、あれ、General Circulation Model (GCM) 回している?そして、観測されたトレンドを再現出来たって書いてある?どうして?話が違うじゃない。GCMってそんなに簡単にチューンできる代物だっけ?とは思ったんですよね。結局は私、原論文のその部分を読めなかったし、勘が働かないので読んでも確からしさは判定出来なかったでしょう。でもこの論文、かなりの賭けに出ているのかも、と改めて思います。
やはりもう少し地上観測が必要だ。って空調の効いた部屋で言うだけならば簡単です。

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コメント(6件)

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衛星データでエイヤッとやっちゃうものは、基本的に「本当か?」と思っちゃいますね。

本当ならインパクトの強い話になりますね。
綾波シンジ
2009/01/28 16:04
ええ、こんな話は軽々しく信じる気にはならんです。衛星でエイヤっもそうですし、地上データは本当に僅かですから「空間的コヒーレンスが高いから」と言われてもね。そんな一言で片が付くくらいなら、観測屋は苦労しませんよね。
議論はこれから山ほど出るのでしょうが、最終的な決着は地上データと衛星データ双方の充実を待つしかないのでしょうか。あと10年?20年?
Polly
2009/01/28 23:36
まぁ、「以前よりは、信頼性が高まってきている」のは、一つの進歩なのでしょうね。

なんかヘタに「信用出来ない」と書くと、学術論議のステップを知らない一般的に「懐疑派」と言われる人が、良いように低いレベルで文意を解釈してしまいそうで怖いです。
綾波シンジ
2009/01/29 02:03
プロとしてコミュニケーションに苦労しておられる綾波さんに素人の私が無責任なことを申し上げるのはどうかとも思いますが、
下手に「信用できない」なんて書くのは怖い ---仕方ないじゃないですか、それが人類の現在の知の到達点なのだから。事実なのだから。事実に対する敬意を忘れたら科学はおしまいです。そして私、「楽屋を見せる」ことについて非常に楽観的です。楽屋を見せると信用されます。そして「こいつは信用出来る」は説得の基本です。
と同時に私、他人がウソをついていることを見破る人間の能力を深く信頼しています。例えば先日、我が家に来たペンキ屋のおっちゃんは「みのもんたはどんな話も単純化しちゃうからねぇ」とぼやいていました。おっちゃん、本当に大事な事はきちんと分かってるやないか。お笑い芸人や、そこに出演する人間が本当に信用されているとは私は思いません。
もちろん「分からない振りをすることで給料を貰っている」人もいるので、話は決して簡単ではありません。でも、本当の勝負は懐疑派を説得出来るかではなく、普通の人を説得出来るかで決まるのです。
Polly
2009/01/30 23:01
あ、私が言いたかったのを、思い切り単純に例にしますと、とある研究者が、問題の所在をはっきりさせるために、

「◆◇問題について、○○までは分かっているが、△△についてはまだはっきりと分かっていない。」

と発言した内容が、
「◆◇問題について、分かっていない。」
という風に伝言ゲームで変わっていくことへの危惧です。

(「分からない振りをすることで給料を貰っている」とのあたりを見る限り、pollyさんもご了解の事とは思いますが(苦笑))
綾波シンジ
2009/02/01 16:58
なるほど、その危惧は分かります。しかし、うるさいことを言うなら私の段階で既に原著者の持つ「どこまでは分かった」は歪んでいます。この論文の可能性と限界を理解するには最低限、南極の気温のデータの統計的な癖と、使われた統計的手法の数学的な癖が頭に入っていなければなりません。そのどちらも私には欠けている。
自分の能力はその程度なのに私が原論文を見たのは、この情報の信頼性が、ありていに言えば「マトモな科学者か?」を知りたかったからです。私の印象は、こいつはマトモだ。だがかなりの賭けに出ている。同業者ではない私に分かるのはその程度だし、それが正しいのかも怪しい。でも皆さん、その程度の(orもっと少ない)情報で判断を下すんですよ。責任ある地位にある人はみな忙しく、一つの問題に割ける時間は僅かだからです。だから私は信用を大事にするし、情報が途中で歪むことをそれほど恐れません。
Polly
2009/02/07 08:42

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