気候変動覚え書き

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zoom RSS 2100年までにメートル単位の海面上昇が起きる可能性、否定される

<<   作成日時 : 2008/09/07 02:55   >>

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温暖化による2100年までの海面上昇幅が2mを大きく超えることは物理学的 (運動学的) に見てはほぼ不可能、とUniversity of ColoradoのフェローTad Pfefferらが発表。地形を考えると、2100年までにメートル単位で海面が上昇するほどの速さでグリーンランドや南極の氷床の氷を海に運ぶのは困難であるため。Science 9月5日号掲載論文。
グリーンランドと南極では、氷床の氷が海に流れ出る場所は決まっている。たとえば南極ならば、氷の大半は南極半島とパイン諸島の氷河、Thwaites氷河のいずれかを通る。そこで、南極西氷床の崩壊は2100年までには起きないと仮定した上で、大幅な海面上昇が起きるために必要な氷河の速度を計算。その結果と山岳等の氷河および海水熱膨張による海面上昇とを合わせてみたところ、2100年までに2mを超える海面上昇はほぼ不可能。2mを超えるためには、全ての流出箇所において、これまで知られている最速の氷河の3倍の速度 (現在の平均速度の70倍) で氷を運び出す必要がある。現在よりも少し加速される、というより穏当と思われる仮定で計算してみたところ、2100年までに0.8mの上昇、との結果が得られた。
0.8m上昇すれば十分に大厄災ですが、それを脇に置くと、なるほど。明快ですね。とすれば、海面上昇が大厄災となる日を私がこの目で見ることはないのでしょう。
古気候データを基に「グリーンランドと南極西氷床は小幅な気温上昇で溶けてしまうらしい、それが起きれば海面は6m上昇」という議論をするのは、それはそれで意味があることです。氷床の崩壊なんて話は、ひとたびtipping pointを超えれば人間の力では押しとどめることができません。そしてtipping pointは、実際の崩壊の100年前とかだったりする筈です。であれば、議論を始めるのに早すぎることは決してない。
とはいえ、そうした古気候学的な議論には時間の話が抜けていて、そして、そうした議論をする人々は往々にして(人によってはおそらく意図的に)大規模な海面上昇が明日にも起きるような調子で語ります。それは誇張であり、非科学的な議論です。だから、こうした考察を誰かやらないかな?とは前々から思っていました。こんな結論になるんですね。勉強になりました。
ただ、2100年なんてすぐです。私の孫の世代は、私が直接言葉を交わし世話するだろう、私を看取るだろう世代は、2100年をその目で見る。0.8mの海面上昇は十分に大厄災です。そして、その世代にとって0.8mは始まりに過ぎません。世界の大都市が一瞬で全て壊滅、という訳ではなさそうですが、大変まずい話であることには変わりありません。

University of Colorado at Boulder (2008, September 5). Global Sea-rise Levels By 2100 May Be Lower Than Some Predict, Says New Study. ScienceDaily. Retrieved September 7, 2008, from http://www.sciencedaily.com/releases/2008/09/080904145113.htm

W. Pfeffer, J. Harper and S. O'Neel, 'Kinematic Constraints on Glacier Contributions to 21st-Century Sea-Level Rise,' Science 5 September 2008: 1340-1343.

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